主宰 kawano seiichi
川野誠一 (劇団大樹)

  ようこそ大きな樹の下へ・・・

 本日は劇団大樹第7回公演「ポプコーンの降る街」にご来場下さいまして本当にありがとうございます!

 皆様のお蔭を持ちまして劇団大樹も10周年を迎えることが出来ました。1995年に「未来に賭ける」という作品で旗揚げをした僕等・・・この作品のタイトルは物語の主題であるとともに、俳優になりたての僕等にとって「夢」とか「希望」とか「憧れ」とか、そういった思いのかたまりでもありました。本当にあの頃が懐かしく思い出されます。あれから10年・・・もう10年・・・まだ10年。ここは途中で、旅のどこかで、ただふっと立ち止まった駅のひとつに過ぎないのでしょうね。

 何はともあれ久し振りの劇団公演!こうやってまた皆様と劇場でお会い出来たことを本当に嬉しく思います!とは言え前回公演から5年・・・長いと言えば余りにも長い充電期間でした。劇団とは言いながら、今や劇団員は僕ひとり・・・芝居を創るには芸術的な作業と事務的な作業の両面をこなして行かなければなりません。そこには大きな金銭的負担も当然あります。この5年の足踏みは、芝居を創ることの難しさを痛感してしまったが為の足踏みだったような気がします。では僕が劇団活動を再開した理由は何か?10周年という節目は確かに後押しになってはくれましたが・・・本当の理由は僕自身が俳優という仕事に行き詰まりを感じてしまっていたからです。あの頃、確かに感じていた演劇に対する楽しさや喜びといった衝動が・・・今や僕にとって苦しみでしかない事に気が付いてしまったからです。もう一度僕にとっての「演劇」を見つめ直したい。真剣にそう考えた時、僕には「劇団大樹」しかなかったのです。10年前、芝居の右も左も分らない僕等が情熱と熱意だけで立ち上げた、どこよりも自由で、誰よりも豊かでいられる「大樹」という名の居場所。もう一度この場所に立ち返ろう・・・そんな一心で動き出した公演でした。久し振りの劇団公演の為、錆び付いた歯車が勢い良く回り出すには随分と時間が掛かりましたが、前回公演「ダニーと紺碧の海」に続き、快く演出を引き受けて下さった青年座の山口あきらさんが、僕等の潤滑油としてその手腕を存分に発揮して下さり、今や「大樹」の歯車はかつてない勢いで噛み合い回っています!
 
 今回の上演作品「ポプコーンの降る街」と僕が出会ったのは7〜8年前。ある女優さんが「川野君の劇団にピッタリの作品よ」と僕に台本のコピーを下さったのです。読み終えたあと心の温度が上がって行くような世界観に「いつかきっと!」と上演を切望していた作品でした。作品の上演を快く許可して下さった作者のみ群杏子さんを始め、上演実現の為にお力添えを下さった全ての皆様に心から感謝致します。僕の考え得る最高のキャストとスタッフでお送りする劇団大樹「ポプコーンの降る街」。開演を前に今はただただ皆様に今日の舞台を楽しんでいただけたらと祈るばかりです。

 どうか僕等の「思い」が皆様の胸に届きますように・・・ 


演出 yamaguchi akira
山口あきら (劇団青年座)


 劇団大樹の川野さんから、又、新しい出会いをいただきました。出演者・スタッフはもちろんですが、この作品の作者、み群杏子さんです。人生の中での出会い、別れ、忘れていた出来事を思い出させてくれる作品。稽古するたびに気付かされる事がいっぱいあります。一体この人、どんな人生を送って来たのだろうか・・・稽古を通して作家と文通でもしているような気になって来ます。


   まだ見ぬ素敵なあなたへ

        この作品を通して魂が結ばれることを願っています。
        そして、そらみみの森の住民に加えていただけたら幸いです。


 え!何?み群さんがわざわざ大阪から観に来るって!?どうしよう・・・私の胸は少年の頃のように高鳴っています・・・・・。

 最後に劇場にお越し頂いた皆様と出会えることに心より感謝いたします。