mimure kyoko
み群杏子 (舞台創造集団りゃんめんにゅーろん)

    心にとまるのは、古ぼけたもの。弱いもの。儚いもの。見捨てられたもの。

   気になるのは、気弱であったり、不器用であったり、情けなかったり、変わり者であったりする人たち。
   私が書きたいと思うのは、そういうものや人ばかりです。

   時々、書き上げた作品のなかに、もう現実には会うことの出来ない人たち(亡くなった人や別れた人やあの時の自分)
   が、形を変えて戻ってきてくれたような気がすることがあります。
   なつかしくてやさしい気持ちになります。そういう気持ちを味わえるだけで、私は書いてよかったと思います。

   「ポプコーンの降る街」も、そんな作品のひとつです。


   いろんな劇団で上演していただき、自分の住んでいる場所に近い所での上演ならば、足を運び、
   その小さな(この作品の場合、たいていは小さな会場なのです)秘密めいた空間に身を潜め、
   息を凝らしてかつて愛したものや人たちのことを、それぞれの舞台や役者さんたちを通して追体験している自分を、
   とてもぜいたくなことをさせてもらっているなと感じるのです。


   劇団大樹の川野さんからの上演依頼のメールには、この作品にたいする川野さんの思いが溢れていて、
   私をとても幸せな気持ちにさせてくれました。遠い場所での上演にもかかわらず、観せていただきたいなと思いました。


   よい舞台を、楽しみにしています。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~ryanmen/mimure/




演出 Yamaguchi Akira
山口あきら (青年座)


   川野誠一は、その名のごとく誠実な人物です。

   彼と出会い、その演劇に対してひた向きな誠実さに惹かれ、劇団大樹とおつき合いさせて頂いています。
   今回色々話し合い、彼の提案で「ポプコーンの降る街」この作品を選びました。
   み群さん、上演許可ありがとうございます。すてきな作品を大切に演出させて頂きます。

   暗い殺伐としたニュースが流れる今の時代、物が便利になり過ぎ、その進化に心が追いついて行かない今、
   人々がなくした何かを取り戻してくれる様な心温まる芝居にして行きたいと思います。

   み群さんの戯曲集「微熱の箱」のラストに、こんな詩が載っています。

   「いつもより少し熱のある日、
    いつもより少し胸の鼓動が早い。
    少しけだるく、少しものうく、
    そんな時、
    私は忘れている何かを思い出す。
    胸の奥にしまいこんだままの箱
    箱の中には、あの日の物語がねむっている。」

   12月の公演をお楽しみに!!
   川野はきっと誠実に素敵にこの作品を演じてくれるでしょう。(ちょっとプレッシャーかけ過ぎ?)

http://www.seinenza.com/