プロローグとして・・・


  古いビルの一室。隣には路地を挟んでHOTEL REGRET。
  都会の片隅の忘れられたような場所・・・

  そこは探偵 野放風太郎と助手タキの事務所兼住居である。

  殺風景な部屋には描き上げられていない女性の絵が一枚・・・
  それは風太郎が描いたものだ、だがその絵の中の女が誰なのか?風太郎には分らない・・・

 「恋人なんだろ?」

 「そうだったような気もする・・・僕はこの女をずっと捜してる」
 「女を捜すという使命感が僕を探偵にしたと言っていい・・・それなのにいっこうに見つけられない」

 「いつか逢えるさ。あんまし思い詰めないほうがいいよ」

  そこへ、サラダオイルを持った女がやって来る。

 「入口にあったけど・・・ここ探偵社?」「へえ・・・探偵か。やっぱりね、私をつけてたでしょ!」

  いきなり風太郎に食って掛かる女! 身に覚えのない風太郎!

  女は執拗に、自分をつけていた男の風貌と行動を並び立て、風太郎を圧倒し、事務所を出て行く。

  女が去った後・・・
 
 「ねえ似てない・・・」と壁に掛けられた絵に目をやるタキ。

  止まっていた時間が動き出す・・・