脚本 mimure kyoko
み群杏子 (舞台創造集団りゃんめんにゅーろん)

 私が戯曲を書くきっかけとなったのは、パトリック・シャンリィの「お月さまへようこそ」でした。
やはり「お月さまへようこそ」をとても愛していらっしゃる川野さん。一昨年、劇団大樹が山口あきらさんの演出で上演して下さった「ポプコーンの降る街」は、とても素敵な舞台でした。ですから、今回も安心してお任せです。厖大なテーマの物語は、私には書けません。街の片隅に暮らす人の、心のなかの小さなドラマを書くだけです。小さな出来事。小さな場面。その小ささが、たぶん私は好きなのだと思います。今回、上演していただくのは、戯曲ではなく、短編小説であったり、ラジオドラマであったり、朗読劇であったりする作品たちです。「ジェリービーンズの指輪」にも、「カスタネットの月」にも、登場人物の心を反映するように、「月」が登場してきます。そういえば、「ポプコーンの降る街」にも、満ちては欠ける月に恋する男の話が出てきました。私の作品のなかに、「月」は、かなりの確率で出てくるようです。サブタイトルは、−月と語りとアンサンブル−だとか。どんな舞台を見せていただけるのか、今回も楽しみにしています。


み群杏子。大阪府在住。初めは作詞家であったが、その後、劇作家として活動を開始。現在、座付作家として舞台創造集団「りゃんめんにゅーろん」所属。91年に「恋心のアドレス」で文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作を受賞、同作品を「俳優座」が初演。また92年にも「ポプコーンの降る街」が同賞を連続受賞し、同作品を「しし座」が初演。その後、Kiss-FM「Story for Two」のレギュラー執筆を担当。言葉のニュアンスを大切にしたポエティックな作風が特徴。生の悲しみおかしみを根底に持つ独特の作品世界を展開。02年には、初の戯曲集「微熱の箱」が出版される(宝塚出版刊/星雲社)。07年4月には、新作「森陰アパートメント」を発表。大阪ヌーヴォー・スタシオンにて上演され好評を得る。

劇団大樹では、05年に「ポプコーンの降る街」を上演。来年には、同作家の「ひめごと」の上演が決定している。

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