mimure kyoko
み群杏子 (演劇集団りゃんめんにゅーろん)

劇団大樹さんで、私の作品を上演していただくのは、今回で三度目となりました。

一度目は、2005年12月に上演された「ポプコーンの降る街」。二度目は、昨年12月の小公演「月と語りとアンサンブル/み群杏子の世界」。そして、今回の「ひめごと」です。

太宰治の「斜陽」に、ひめごとという言葉が、とても印象的に使われているところがあります。母親が娘に、「恋人がいるの?」と聞き、娘が「お母様、人間にだけあって、他の生き物にないもの、なんだかごぞんじ? …それはね、ひめごとというものよ」と返すところです。人間だけにあって、他の生き物にないもの…。

私事ですが、最近、老いてきた母が、びっくりするようなことを言うのです。

「あなたのお父さんはね…」。

ずっと自分の胸に秘めてきたことなのか、それとも記憶が混乱してきているのか。それは私自身、「ひめごと」を書いていた時には知らなかったことなのに、「ひめごと」の母娘と似ていて、とても不思議です。

それはさておき、今回もまたまた山口さんの演出。またまた素敵な舞台にしてくださることと、楽しみにしています。


み群杏子。大阪府在住。初めは作詞家であったが、その後、劇作家として活動を開始。現在、座付作家として舞台創造集団「りゃんめんにゅーろん」所属。91年に「恋心のアドレス」で文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作を受賞、同作品を「俳優座」が初演。また92年にも「ポプコーンの降る街」が同賞を連続受賞し、同作品を「しし座」が初演。その後、Kiss-FM「Story for Two」のレギュラー執筆を担当。言葉のニュアンスを大切にしたポエティックな作風が特徴。生の悲しみおかしみを根底に持つ独特の作品世界を展開。02年には、初の戯曲集「微熱の箱」が出版される(宝塚出版刊/星雲社)。07年4月には、新作「森陰アパートメント」を発表。大阪ヌーヴォー・スタシオンにて上演され好評を得る。 この作品は、大阪春の演劇祭にて、脚本賞と主演女優賞を受賞。

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