「すぐそこにある筈なのに簡単にはつかむことができない。それでいて触れても実体がないような不思議な世界」 を描いてくれるみ群さんの作品の風合いをそのままに舞台を創り続けている 「大樹」 さん。毎年楽しみにしています。この世界が一人でも多くのお客様に味わっていただけたらいいなぁと思います。その為に両手いっぱい溢れんばかりの想いを携えて今日も公演に向けて奔りまわる川野さんを応援しています。夢をふくらませて・・・きっと今年も公演を観てくださる方にのぞみ通りの切符を受け取っていただける事でしょう!

高田裕子




川野さんとは、平成16年、他の劇団の旗揚げ公演の時に知り合いました。その際、川野さんが演劇に携わるようになられた経緯や、ご自分が主宰されていらっしゃる劇団大樹のことなどをお聞きし、演劇に対する真摯な心構えに感銘を受けました。そこで、今後、微力ながら、自分にできる範囲内で、川野さんの支援をしようと思いました。み群杏子さんの作品は、今まで劇団大樹公演を拝見し、ポエティックな印象を受けました。今回の作品 「マダムグラッセの家」 は、大人のメルヘンのような香りが舞台に広がるのではないかと期待し、制作協力にあたりたいと思います。

佐藤俊昭




良い演劇は、おいしかった食事に似ている。そう思う、僕である。訪れたお店や食卓の雰囲気。清潔感、ほどよい音楽や照明などが、どんな料理が出てくるのだろうと静かに期待を沸き立たせる。みずみずしい植物などあれば、なお良い。給仕をしてくれる人も素敵ならば、その期待はますます膨らんでいく。そして運ばれてきた料理が食卓を彩り。それぞれが丁寧に盛り付けられ、それらをより引き立てるために、しっかりと選ばれた食器が使われている。ゆっくりと、ときに手早く、料理を味わう。それらは熱く、冷たく、甘く、ほろ苦く。爽やかに、芳醇で、香り高く、甘酸っぱい。ひとつずつではなく、順番に。ふたつをいっしょに。すべてを食べ終えたときに。初めて口に広がる味わい。おいしかった。おいしかった食事のことを、僕はそんな心地良さとともに覚えているのである。そんな風に、劇団大樹の劇も覚えている。さて。『マダムグラッセの家』は、どんな味わいを僕に覚えさせてくれるだろうか。幕が開けるのは秋深く。食べ物がおいしい季節である。

中島和久




劇団大樹は作品事に色を変え、様々な空間を我々に提供してくれます。特定の色を持たず、どんな色にも染まる事が出来る。今回は何を見せてくれるのか、どんな色で表現するのか、今から楽しみです。

三好孝之




大樹の公演案内を頂くと、私の冬はとても色のある楽しみなものになります。み群さんの作品が素敵なのも勿論ですが、音楽と花と芝居と・・何ともステキな非日常に居させてくれる大樹の演出に惚れています。そしてある時は出演者として又スタッフとして作品が完成する過程を体感している私は・し・あ・わ・せ・者です。

竹内ちさ子




いつもより、やけに気分の抑揚を感じ易いのは、なんでだろうかと思っていたら、満月の夜だったから!・・・そんな事、よく有りません? しかも、満月を眺めている、その日の心持ちによって浮いたり、沈んだりと月替わりで。月の光を題材にした芸術作品が数多くあることからしても、はなから根拠の無いこととは申せますまい。さて、川野さんと初めてお会いしたのは、満月が特に良く映える、ある秋の日でした。川野さんから放たれる後光が重なって、テンションが宙まで一気に吹き飛んだ、あの感覚を忘れることは出来ません。恐らく、川野さんと出会ってなかったら、伝統文化の話を少し掘り下げて伺ったり、狂言の舞台を初めて観させて頂く機会は、大幅に遅れていたことでしょう。言わずもがな、み群さんの世界を、さながら映画的に、いや、それを遥かに超え、伝統の美を踏まえつつも、音と花と光の融和によりファンタジックに繰り広げられる、劇団大樹さんの世界に触れること自体、叶わなかったでしょう。この魅惑的な世界は “大樹” という名のもとにチカラを持った人々が寄り合うことで生まれる壮絶なエネルギーの成果だと思っています。過去2回観劇して、新嘗祭 (勤労感謝の日) の時機に、心豊かにして貰って参りました。今秋の公演も、そうしたものに仕上がるものと信じております。また、更にそうなるようにと願い、私自身も糧とさせて貰ってきた御恩返しに些少でもなればとの想いから、甚だ僭越、微力ながら協力させて頂いております。どうか心の輝きを増して月へと照り返す勢い付けとなるよう、ご来場を、お待ちしております。

きの屋精章