演出 Yamaguchi Akira
山口あきら (青年座)


「お月さまへようこそ」演出にあたって

昨年に続き、劇団大樹の演出をさせていただきます、山口あきらです。
今回はジョン・パトリック・シャンリィ「お月さまへようこそ」。前々回、同作家の「ダニーと紺碧の海」を演出し、川野氏よりシャンリィ作品との出会いが実現しました。ニューヨークのブロンクスという世界でも有数の危険地域に育つ彼は、ブロンクスを舞台に彼独自の世界観で、危険な臭いを放つ作品を描いています。とは言えそれをメルヘンとして捉え、詩的にキレイに仕上げています。「お月さまへようこそ」は彼の自伝的な部分もあり、作家としての苦悩、希望など様々な要素を盛り込んだオムニバスという形の台本です。彼の作品の多くは必ず、お月さまが出て来ます。「月」というイメージは、月の引力、月の満ち欠けなど、人の生命に様々な関係が深く思われます。大都会ニューヨークの昼間の喧騒から逃れホッとした時、ブロンクスのビルの谷間に月が見える。昼と夜の落差から感じるものがあるはずです。川野氏も私も大好きな作品です。そして今回も素敵な出演者が集いました。初めての出会い、どんな稽古になるか今からワクワクしています。川野氏には全作品に出演をお願いしました。そして前回よりグレードアップした役者 川野誠一を見られる事でしょう。ムム!楽しみですね。この作品は今まで様々な方が上演しています。

劇団大樹のこの公演は、激しく、美しく、おかしくって、ちょっぴり悲しい「大人のメルヘン」に仕上げたいと思っています。どうぞご期待下さい。



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