mimure kyoko
み群杏子 (星みずく)

劇団大樹さんのこと、森蔭アパートメントのこと・・・



劇団大樹さんで、私の作品を上演して頂くのは、今回で4作目になります。

一作目は2005年の「ポプコーンの降る街」。これは私が文化庁舞台芸術創作奨励賞で、二度目の佳作を頂いた作品です(一度目の受賞作は「恋ごころのアドレス」という作品で、俳優座でも上演して頂きました)。次が2007年の「月と語りとアンサンブル/み群杏子の世界」。これは私の戯曲作品以外の作品(ラジオドラマであったり、小説であったり)をセレクトして“ドラマリーディング”という形で、上演して下さったもの。小さな可愛いものを集めた宝箱を、目の前で開いてもらったような、個人的にも嬉しい企画でした。

そして、その次が、昨年上演して下さった「ひめごと」です。

すべて大阪から足を運び、観させて頂いています。どの舞台も、プロデューサーである川野さんの思いの溢れた素晴らしいものでした。そして感じたのは、川野さんや演出家の山口さん、出演者の皆さんの、作品への愛情です。作品を大切にし、愛し、理解し、作品と正面から対決し、自分たちのものにしようとしている。もちろん、どんな舞台人でもそうなのでしょうが、私は過去三作の上演を通して、大樹さんの舞台に強くそれを感じ、感動しました。

私は大阪に住んでいて、東京と大阪で離れてはいますが、私の作品を理解し、続けて上演して下さっている劇団大樹さんの存在は、私自身にとっても、とても大きなものになっています。私としては、今後、新作を発表するなら、一番に大樹さんにお任せしたいと考えています。

「森蔭アパートメント」は、2007年に大阪で上演した作品です。この時は、大阪春の演劇祭にて、脚本賞を頂くことが出来ました。川野さんも東京から足を運んで下さいました。今回はその作品をベースにして、大樹さんの上演のために、大樹版「森蔭アパートメント」として書き直させてもらいました。

大樹さんでしか出来ない「森蔭アパートメント」を、私もとても楽しみにしています。


み群杏子。大阪府在住。初めは作詞家であったが、その後、劇作家として活動を開始。91年に「恋心のアドレス」で文化庁舞台芸術創作奨励賞佳作を受賞、同作品を「俳優座」が初演。また92年にも「ポプコーンの降る街」が同賞を連続受賞し、同作品を「しし座」が初演。その後、Kiss-FM「Story for Two」のレギュラー執筆を担当。言葉のニュアンスを大切にしたポエティックな作風が特徴。生の悲しみおかしみを根底に持つ独特の作品世界を展開。02年には、初の戯曲集「微熱の箱」が出版される(宝塚出版刊/星雲社)。07年4月には、新作「森陰アパートメント」を発表。大阪ヌーヴォー・スタシオンにて上演され好評を得る。 この作品は、07年大阪春の演劇祭にて、脚本賞と主演女優賞を受賞。2007年、リーディングユニット「星みずく」を設立。

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